他の薬との飲み合わせ


バルトレックスを服薬する上で、併用薬に注意が必要になるものもあります。絶対に併用してはいけない「併用禁忌」は存在していませんが、慎重に併用していく必要がある「慎重投与」は存在しているため、すべての薬で安心して併用できるわけではありません。

まず、バルトレックスの活性代謝物であるアシクロビルは、腎排泄されるタイプの医薬品となっています。同様に腎臓から排泄されるタイプの医薬品は、競合的に邪魔をしてしまうため、血中濃度の変動を招いてしまうのです。
免疫抑制剤であるミコフェノール酸モフェチルでは同様の腎排泄型医薬品であり、腎臓において競合的に働き、双方の血中濃度が上昇してしまう可能性があります。

痛風に用いられるベネシッド錠(一般名:プロベネシド)は尿細管におけるアシクロビルの排出を抑制するため、併用することでバルトレックスの血中濃度曲線下面積(AUC)が48%上昇してしまいます。
胃酸分泌を抑制するH2ブロッカーであるタガメット錠(一般名:シメチジン)も尿細管においてアシクロビルの排出を抑制するため、併用することでバルトレックスの血中濃度曲線下面積(AUC)が27%上昇してしまいます。
喘息で使用するテオドール錠(一般名:テオフィリン)との併用では、機序は不明ながらテオフィリンの血中濃度が上昇することが判明しています。

服用を注意すべき人


バルトレックスを服用する上で、注意しなければいけない人が存在します。過去にバルトレックスを服用し、アレルギー反応を起こしたことがある人は、もちろん服用することはできない禁忌に該当します。
バルトレックスは服薬することでアシクロビルに代謝されて効果を発揮します。アシクロビルは腎臓から排出されていくために、腎機能が低下している人では慎重に服用する必要があります。アシクロビルの排出が滞ってしまうと、意識障害などの精神神経症状の副作用が起きやすくなってしまうのです。高齢者の場合には、総じて腎機能が低下しているため、服薬に注意が必要です。また、水ぼうそう患者などの脱水を起こしやすい状態では、腎臓からの排出がスムーズにできず、副作用が起きやすくなるために注意が必要です。

プロベネシド、シメチジンはアシクロビルの尿への排泄を阻害するため、アシクロビルの血中濃度が上昇してしまうことが判明しています。プロベネシドでは48%、シメチジンでは27%の上昇が確認されているため、これらの医薬品を使用している人も注意が必要です。ミコフェノール酸モフェチルルトン併用もアシクロビルの血中濃度が上昇すると言われていますが、どの程度上昇するかまでは判明していません。また、詳しい機序は不明ですが、テオフィリンとの併用では、テオフィリンの血中濃度が増加するとされています


妊婦、産婦、授乳婦等の服用


妊娠中の患者では、治療上の有益性が危険性を上回る場合に使用を検討されます。妊娠中の水ぼうそうへの感染は、胎児に奇形が発生する可能性が高く、妊婦にとっても重症化しやすいために、非常に危険です。バルトレックスを服用することによって胎児に奇形が発生するという動物実験の結果はありますが、医薬品として使用する以上の大量投与をしなければ奇形が起きる可能性は高くありません。妊婦の腎機能障害を引き起こす可能性も示唆されていることから、危険性と有益性を天秤にかけ、しっかりと判断していかなければいけません。口唇ヘルペスなどの危険性が低い単純ヘルペスなどに関しては、外用薬での治療を優先する方が良いでしょう。

性器ヘルペスの抑制療法中に妊娠してしまい、そのまま治療を継続した場合の危険性については、安全性が確立していません。性器ヘルペスを発症したまま出産しては、新生児に垂直感染してしまい、新生児突然死の原因になることもあるため、優先するべき状況判断は厳密におこなう必要があります。

授乳婦がバルトレックスを服用した場合、乳汁中に代謝物であるアシクロビルが排出されてしまうことが判明しています。乳汁中に排泄されるときには成分が濃縮されてしまい、母体の最高血中濃度よりも0.5倍~2.3倍の濃度となり、AUC(血中濃度曲線下面積)から考えれば1.4倍~2.6倍の濃度となってしまいます。新生児が服薬する量としては明らかに過剰なものであり、腎障害や昏睡などの意識障害が現れる危険性があります。どうしても授乳中の使用が必要な場合には、服薬期間中には授乳を中断しておくべきでしょう。